偏光板(POLAX)・波長板(RETAX)・歪検査器(ストレインアイ)・光学部品、光学機器の製造・販売 メーカーの株式会社ルケオ

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やさしい技術情報

偏光

偏光とは

まず、身の回にある太陽光や照明などの光は、電磁波の一種であり、いろいろな方向に振動しています。
電磁波は波と粒子の性質を併せ持ち、伝搬方向と垂直な方向に振動する電場と磁場で構成される波です。

偏光とは、光のもつ性質の一つです。
偏光は、光の振動が一定方向に規則的に振動する偏った光のことです。

偏光板とは

偏光板とは、太陽光などの(方向に統一性がなくランダムに振動する光)が入射すると、一定方向に振動する光(偏った光)に揃えるための光学部品です。

偏光板は、直線状の細長い隙間が付いたフィルターとイメージしてください。
ランダムに振動する光が細長い隙間をすり抜けるので、一定の方向に振動する光に揃います。
この隙間は「偏光軸」や「偏光透過軸」と呼ばれています。

2枚目の偏光板の偏光軸が垂直90度だと、水垂直方向の直線偏光は遮られることなく通過します。

2枚目の偏光板の偏光軸が水平0度だと、垂直方向の直線偏光の波は通過できなくなり、光量が0になります。

偏光の種類

偏光(電磁波)の種類には、「直線偏光」、「円偏光」、「楕円偏光」があります。
電磁波は、伝搬方向と垂直な方向に振動する電場と磁場で構成される波です。

「直線偏光」は・・・
一定の方向で、直線状に振動している光です。
電場の振動方向を含む面が 1つに特定されて進む光のことです。
この例では、電場がx–z平面内で振動しています。

「円偏光」や「楕円偏光」は、偏光が複屈折物質を通過する際、偏光の状態が変化して起こります。

「円偏光」は・・・ 偏光(電場ベクトルの先端)が円を描くように進む光のことです。
また、その回転方向により右円偏光や、左円偏光と呼ばれています。

「楕円偏光」は・・・
偏光(電場ベクトルの先端)が楕円を描くように進む光のことです。

消光比とは

消光比とは、偏光板の性能を示す仕様のひとつです。
消光比は、偏光板2枚を組み合わせて、一方の偏光板を回転させ、一番明るい状態と一番暗い状態の光の強さをを比率で 表したものです。
この比率が大きいほど、偏光板の性能が優れていることを表しています。

偏光板の種類

  • ヨウ素系偏光板 :ヨウ素で偏光性能出した偏光板、安価で偏光性能に優れる。
  • 染料系偏光板 :染料で偏光性能を出した偏光板、安価で比較的耐久性が高い。
  • ワイヤーグリッド偏光板 :ガラスや樹脂の上に金属などでスリットを形成したもの。
  • 結晶系偏光板 :複屈折性の結晶を組合せ偏光性能を出したもの。
  • 無機系偏光板 :無機系の材料のみで構成された偏光板、耐熱性に優れる。

偏光板の用途

  • 偏光サングラス、カメラ用フィルター(反射を軽減)
  • 液晶ディスプレイ(明るさと色を制御する)
  • 光学測定(物体の応力状態を測定)
  • 生物医学(顕微鏡で組織イメージングに使用)

など多くの技術で使われています。

位相差とは

ここで言う位相差とは、偏光における直交する偏光成分の位相がどれだけずらせるかを表すものです。
偏光に位相差を与えることで、偏光状態が変化します。また、与える位相差の量によりいろいろな偏光状態が実現できます。

波長板とは

波長板とは、偏光の直交する偏光成分の位相をズラすことで偏光の状態を変化させる光学部品です。
簡単に言うと、波長板に入った偏光の振動方向を傾けたり、偏光を回転させたりでき、
偏光の種類で紹介した、「円偏光」や「楕円偏光」の状態を作り出すための物です。
ルケオでは、様々な偏光状態に対応するため、波長板に使用される光学フィルムを内製することで、
お客様ごとに最適な波長板を製作しています。

波長板の種類

1/2波長板

入射する偏光の直交する偏光成分を1/2位相をずらすことができる波長板。
1/2位相をずらすことにより、波長板に入射した偏光が2θ傾いて出射される。
つまり、波長板の決まった方位に対し、45°傾いた状態の偏光を入射すると90°傾いた状態で出射される。

1/4波長板

入射する偏光の直交する偏光成分を1/4位相をずらすことができる波長板。
波長板の決まった方位に対し、45°傾いた状態の偏光を入射すると一方向の振動であった偏光が、回転するような動きに変わる。

波長板の用途

  • ・カメラ用フィルター(円偏光板として反射を軽減)
  • ・液晶ディスプレイ(広視野角化)
  • ・生物医学(顕微鏡で組織イメージングに使用)
  • ・レーザー光源(偏光方位を可変させる)
  • ・光アイソレーター(戻り光の除去)

など多くの技術で使われています。


歪検査の応用例

レンズの残留応力低減

めがねレンズ
勘合・締付け調整

SiCウエハ欠陥検査

樹脂成形条件検討
スマホケース

有色樹脂の評価
スマホケース

フィルム熱溶着・異物検査
アイスのスプーン

「歪(ひずみ)」という言葉は、人によって意味が異なるので注意が必要です。
関係する言葉?として、応力(MPa、Kg/cm2)、位相差(リタデーション、光路差)(nm)、 複屈折(nm/cm)、表面の形状の凹凸があります。

ルケオにおける「歪(ひずみ)」は以下のような意味合いです。
ガラス内に応力が働いている状態を「歪(ひずみ)がある」、「歪(ひずみ)が残っている」などと表現し、
「歪(ひずみ)」を「応力(stress)」または「応力により無理が生じている」というニュアンスで使用しています。
  ガラスの分野では古くから歪(ひずみ)をこのニュアンスで使用しており、応力を扱う一般的な学問の材料力学では「ひずみ(strain)」は力、温度変化などが原因で生じた元の形からの伸縮、湾曲、捩れなどを示しており、全く別の意味合いで使用しているため、注意が必要です。
 以下に、最も簡単な応力とひずみの定義を示します。

歪(ひずみ)には以下の種類があります。

1.外部から力を加えた時の歪(ひずみ)

フレームにガラスを押し込む等

2.一時的な熱衝撃による歪(ひずみ)

(ガラスの一部を温める)

3.固化する際の熱履歴による歪(ひずみ)

(内部が熱いうちに表面が急冷される)

歪(ひずみ)の検出方法

歪(ひずみ)の検出には、2枚の偏光板を使用します。偏光板には偏光透過軸という軸方向があります。
イメージはブラインドです。
それぞれの偏光板の軸が平行になるようにセットすると、光が良く透過します。逆に、それぞれの軸が直交するように セットすると、光はほとんど透過しません。
この軸が直交している中にサンプルを入れると、歪(ひずみ)の入っている部分の光が抜け、検出することができます。

歪(ひずみ)検査の種類

直交ニコル法

特徴
・一番シンプルな構造で、光源と偏光板2枚で構成されています。
・偏光板の軸と歪の軸が重なってしまうと、歪が隠れてしまいます。

歪(ひずみ)検査の種類

円偏光法

特徴
・歪(ひずみ)の軸方向を気にすることなく、視野内にサンプルを配置すれば観察が可能です。

歪(ひずみ)検査の種類

セナルモン法

特徴
・定量測定(数値化)が可能です。

歪(ひずみ)検査の種類

鋭敏色法

特徴
・小さい歪(ひずみ)を検出することができます。
・歪標準板を併用することで、簡易的な定量測定(数値化)も可能です。