偏光板(POLAX)・波長板(RETAX)・歪検査器(ストレインアイ)・光学部品、光学機器の製造・販売 メーカーの株式会社ルケオ

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スタッフブログ

残留応力とクラック

■ブログのモチベーション

 みなさんこんにちは。技術部スタッフのKです。本日より弊社で初めてとなるBlogを開設しました。
毎月2回の更新を目標にして、ものづくりにおける技術情報を配信できるようにしたいと思いますので、ルケオホームページにお立ち寄りの際は、ご一読いただけると幸いです。みなさんに少しでも参考になることを発信できるように営業部ホームページ担当スタッフIとともに運営していきます。
初回は、樹脂製品のクラックに関する内容をお届けします。

 

■樹脂材料

 私たちの身の回りには数多くの樹脂製品があり、それらは生活に欠かせないものになっています。朝起きて歯磨きをしたり、顔を洗ったりする洗面台、毎日の通勤などで利用する自動車の内外装部品など数えきれません。
ものづくりのトレンドとしては、軽量化、デザイン性向上が可能となる樹脂材料への置き換えが加速しており、とりわけ自動車などの輸送機器産業においては目を見張るものがあります。

 

■残留応力とクラック

 ルケオはこのような時代のトレンドに合わせた検査器を開発しているわけですが、自分たちなりに、みなさんがどのような困りごとをお持ちなのか想像を巡らせるためにインターネットで調べてみました。成形時における残留応力をキーワードに見ていったところ、「ソルベントクラック」という単語が目に留まります。
単に残留応力が大きくて発生するものはストレスクラックと呼ばれ、薬品が関連したクラックをソルベントクラックといい、環境応力割れ(Environmental Stress Cracking, ESC)とも呼ばれます。

 

■ソルベントクラック

 ソルベントクラックとは、薬品が樹脂の中に浸透して高分子鎖の絡み合いを解きほぐされることによって起きるクラックのことを言います。薬品としては、有機溶剤、潤滑剤など、ものづくりの現場で使用しているものから、洗剤、化粧品、接着剤、サラダ油などの食用油など、家庭で使用されるものなど様々です。
樹脂の場合、耐薬品性には1. 化学反応をともなうもの、2. 溶解や膨潤が生じるもの、3. ソルベントクラック(ESC)の三つに分けて考えることが必要です。前二者は材料供給メー カーの技術資料に記載が多いですが、ソルベントクラックは成形品の歪依存性が大きいために、公開されるデータは比較的少ないようです(1)
ソルベントクラックの現象と原因・対策に関する内容を表1に示します。

 

表1. 樹脂成形品のソルベントクラック(1)

現象

・比較的小さな歪(応力)レベルでクラックが発生することがある

・瞬間的にクラックが発生することがある

・輸送中、保存中、など、製造後かなりの時間が経過して割れる(遅れ破壊)

・鏡面のような破断面が見られる

原因

・潤滑オイル、溶剤、洗剤の付着

・洗浄剤、接着剤、メッキ液、化学薬品、食品、スプレー式殺虫剤との接触

(液体だけでなく、ガスも影響する)

・可塑剤を含んだプラスチック(軟質塩化ビニルシート・ホースなど)との接触

対策

・接触金属部品の脱脂 ・無溶剤型接着剤、塗料の使用

・アニーリングなどによる、残留応力などの低減

・外部からの負荷の低減

 

 ソルベントクラックは成形品の歪み依存性が大きく、歪がある一定の値以下であれば、薬品が触れても発生しません。よって、成形条件の見直しや、アニーリングによる残留応力の低減が効果的な対策となります。そんな時に弊社のLSM9100シリーズが活躍します。この検査器は、樹脂の大きな歪(応力、リタデーション)を定量的に計測できるため、成形条件やアニール条件の異なる成型品を計測し、比較することでそれらの条件の適切化とノウハウの蓄積が可能となり、みなさんの製品の競争力向上にお役立ていただけると思います。

 

フルオートストレインアイ LSM-9100シリーズ
https://www.luceo.co.jp/product/lsm/lsm9100w/

 

 ショールームでサンプル計測も実施していますので、お気軽にお問合せください。

問い合わせ先:https://www.luceo.co.jp/contact/

 

これからルケオ スタッフBlogをどうぞよろしくお願いします。

 

■参考文献

(1) 水谷 潔:プラスチックの環境応力割れ, 地方独立行政法人 大阪産業技術研究所, NO.98037, (1998)

以上

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