樹脂射出成形品の成形条件検討における歪検査器の有効性
■はじめに
射出成形は、プラスチック製品を大量生産するための重要な製造技術です。しかし、適切な成形条件を設定しなけれ
ば、製品に歪みが生じ、寸法精度や強度、外観品質に影響を与えます。そのため、成形条件の最適化は極めて重要です。そこで役立つのが「歪検査器」です。本記事では、歪検査器の有効性について解説します。
■射出成形における歪とは?
射出成形品における歪とは、主に内部応力の不均一性によって生じる変形やひずみを指します。これにより、以下の
ような問題が発生します。
• 寸法精度の低下:製品が設計寸法と異なり、組み立てや使用に支障をきたす。
• 反り・変形:成形後に製品が変形し、意図した形状を維持できない。
• 割れやクラックの発生:特に応力が集中する部分に微細な亀裂が生じ、耐久性が低下する。
こうした問題を防ぐためには、成形条件を適切に設定し、内部応力を最小限に抑える必要があります。
■歪検査器の役割とは?
歪検査器は、偏光技術を用いて成形品内部の応力(歪)を可視化する検査器です。これにより、目視では分からない
内部応力の影響を把握し、成形条件の適正化が可能となります。
■歪検査器を活用した成形条件の最適化
歪検査器を使用することで、以下のようなメリットが得られます。
1. ゲート位置の最適化
・射出成形において、ゲート(樹脂が流入する入口)の位置は内部応力に大きく影響します。
・歪検査器を使用することで、適切なゲート配置を決定し、応力の集中を防ぐことが可能になります。
2. 冷却条件の調整
・急激な冷却は内部応力を増加させる原因となります。
・検査結果を基に、冷却時間や温度を調整することで、内部応力を抑えた成形が可能になります。
3. 射出速度・圧力の最適化
・高速射出は内部応力を増加させることがあります。
・適切な射出速度・圧力を設定することで、歪の少ない製品を作ることができます。
■具体的な活用事例
ルケオの協力会社様の成形条件出し用の実験用金型と成形機を借用して、成形条件を変えることでどのように
歪が変化するか共同実験を実施しました。その結果の例を以下に示します。
射出速度、射出圧力、金型温度および冷却時間を変更しながら、歪が小さくなるように検討しました。
このように、歪検査器を活用することで、成形条件の最適化がデータに基づいて効率的に行えることを確認できました。
■まとめ
射出成形品の品質を向上させるためには、成形条件の最適化が不可欠です。そのために、歪検査器を活用すること
で、内部応力の可視化や測定が可能となり、寸法精度や耐久性を向上させることができます。
従来の経験則や試行錯誤に頼るだけでなく、データに基づいた最適化を進めることで、高品質な製品を安定的に生産
することが可能になります。
今後、射出成形の品質向上を目指す企業様にとって、歪検査器は不可欠なツールとなることが期待されます。
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